【こんな物件を買ってはいけない】とある道路に面したマンション購入時の注意点とは?

不動産投資
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私は仕事柄、数多くの中古マンションを取引してきました。
もちろん取引にあたっては、役所などに問い合わせてマンションそのものに法的にネガティブな問題はないか、また住宅ローンの利用に支障がないか慎重に調査を行います。

基本スタンスとして、気に入ったなら買えばいいと思うのですが、この条件のマンションだけは気に入ってもやめとけ、というものが存在するのもまた事実です。
結論を先に言うと、都市計画道路の計画線にかかるマンションは要注意です。
今回の記事ではそもそも都市計画道路とは何か、また計画線のかかるマンションで購入をやめたほうがよいケースについて、不動産歴20年の私が解説します。

ブログ運営者
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  • 不動産歴20年のフリーランス
  • 投資家(不動産14年、株式3年)
  • 運用投資総額は約3,000万円

この記事を読むと、以下のことがわかります。

  • この条件のマンションは買うな

ぜひ最後までご覧ください。




都市計画道路とは

都市計画道路とは都市計画に定めた、将来の整備を予定している道路の計画線のことです。
その計画線にかかる土地はいつか買収が行われ、将来は道路になります。

世田谷区都市計画図を一部加工

都市計画道路の計画線がかかる土地に建物を建築する場合、都市計画法第53条の許可が必要になります。
世田谷区で許可が下りる基準は、以下の通りです。

引用元:世田谷区ホームページ

一般にマンションは鉄筋コンクリート造のため、都市計画道路の計画線内(拡幅予定地)には建物を建築できず、通常は緑地や歩道のような空地にして分譲するケースがほとんどです。

普通に考えれば、拡幅予定地はマンション管理組合の共有のはず。
ところが、一部の築古マンションではなぜか他人の所有になっているケースが散見されるのです…。

接道しているように見えて、していないマンションがある

都市計画道路の拡幅予定地を他人が所有しているマンションは、どのような問題やリスクを抱えているでしょうか。

建替えできないときも

パッと見は道路に接道しているマンションでも、実際は接道していないケースがあります。
法務局で公図をとると実際のマンションと道路との間に、例えばこんな変な筆が存在しています。

この【1340-11】と【1340-12】の土地には鉄筋コンクリート造の建築物を建築できません。
よってマンションの配置はこの2筆を避ける必要があります。

このマンションは都市計画道路の拡幅予定地以外にも接道しているので問題はありませんが、もし接道が都市計画道路の拡幅予定地のみで、さらに拡幅予定地が他人の所有であれば事業完了までの間、そのマンションは未接道の状態です。

なぜこんな事態が生じるのでしょうか?

おそらくこんな思惑だろうと簡単に推察できます。

  1. 都市計画道路の拡幅予定地(B)を含む土地(A)に新築マンションを企画
  2. (A)ではフルに建ぺい率や容積率を使ってマンションの建築確認を申請する
  3. マンションの完成後、(A)から(B)の部分を分筆して住戸を販売
  4. (B)は事業者がこっそり所有
  5. 将来、都市計画道路の用地買収に際し(B)を売って事業者はカネ儲け

例示したマンションは最終的に都市計画道路の用地買収が行われたため、現状においてマンションは事業が完了した都市計画道路に接道しています。
ただ、いっぽうで都市計画道路の拡幅予定地(他人が所有)だけに面しているマンションも存在しており、この場合は未接道のため原則として建替えができません。

最悪の場合は今後の都市計画道路事業の見直しがあり、拡幅されない(≒事業中止)なんてことになれば、未来永劫の未接道が確定してしまいます。
そうなれば、行政から建物の除却が求められるリスクも高まるかもしれません。

これらのマンションは昭和40年代から平成の手前くらいの期間に建築・分譲されたものが多いため、中古マンションの購入者は気を付けたいところですね。

まとめ

都市計画道路に面した築古マンションは接道に気を付けよう

住宅ローンの利用

建替えといっても少し先の話ですし、理論上は建替えできなくても、おそらく行政の救済措置はあるはずです。
むしろ建替えよりも喫緊の問題は、住宅ローンの利用に関する制限でしょう。

マンションに限らず、建替えができない不動産は一般に銀行の住宅ローンが利用できません
住宅ローンを利用できないと、マンション価格は下がります。

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建替えできなきゃ、いつか「住宅」として利用できなくなるからですね

ただし、この手のマンションでも「登記簿の乙区(主に借入れに関する権利欄)」を閲覧すると、住宅ローンを利用して購入しているケースも多々あります。
銀行もウン十年前はあまり気にしていないようですが、年々この手のマンションへの融資審査は難しくなっているようです。

昨今この手のマンションの銀行審査をパスしている背景として推測できるのは、以下の2つの要因でしょうか。

  • 買主の属性(勤務先や年収)がすこぶる良いので、銀行も目を瞑った
  • 営業マンが重要事項説明書等に改ざん魔法をかけた

私は過去にいろいろな魔法を使いこなす不動産営業マンと多々お会いしました。
それは、駅からの徒歩分数を短くする簡単な魔法から、過去に起きた自殺などの告知すべき事項を一瞬で消し去る上級者にのみ許された魔法まで、例を挙げれば枚挙に暇がありません。

そう考えれば重要事項説明書等への改ざん魔法も、数多の不動産営業マンが習得しているポピュラーな魔法のひとつです。
最近の住宅ローンが出た多くのケースは、不動産営業マンの魔法によるものと見ていいのではないでしょうか。

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あくまでフィクション、エンタメとしてご理解くださいね

とある道路に面したマンション購入時の注意点・おわり

いかがでしょうか。
役所で聞くと都市計画道路の拡幅予定地を分筆、マンションを未接道状態にして販売するのは、あくまで合法であり分筆そのものも事業者の権利ではあるようです。

この件については重要事項説明を行う不動産会社および営業マンの説明や表現がまちまちなので、見落とすことのないよう注意してください。
また不動産会社任せにすると、本来利用できないはずの住宅ローンがなぜか利用できてしまうこともあり得ますので、この点も気を付けましょう。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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