みなさんは2018年に不動産投資界をザワつかせた、『かぼちゃの馬車事件』をご存じでしょうか?
シェアハウス運営会社の倒産により購入者が損害を被り、運営会社と某銀行の深い闇が暴かれた事件。
不動産業界に身を置く私からすれば目新しくありませんが、不動産投資と縁遠い人にとっては衝撃的だったかもしれません。
シェアハウス購入者たちを不幸のどん底に叩き落した『かぼちゃの馬車事件』とは、いったいどんな事件だったのか?
『かぼちゃの馬車事件』の概要と真相について、不動産歴20年の私がわかりやすく解説します。
- 不動産歴20年のフリーランス
- 投資家(不動産14年、株式3年)
- 運用投資総額は約3,000万円
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- かぼちゃの馬車事件の概要と真相
ぜひ最後までご覧ください。
かぼちゃの馬車事件とは?
できるだけシンプルに事件を振り返りましょう。
事件の概要
かぼちゃの馬車事件とは、女性専用シェアハウス(かぼちゃの馬車)を企画・運営する㈱スマートデイズの倒産により、多額の負債を抱えた投資家が続出した事件です。
まず、スマートデイズはかぼちゃの馬車を建築して購入者から1棟まるごと借り受けます。
購入者はローン返済額以上の賃料をスマートデイズから受け取れるため、安心してかぼちゃの馬車に投資できたのです。
ただし、スマートデイズの運営はかなり厳しかったようで。
ここから浮かぶのはかぼちゃの馬車の運営は常に赤字で、新規にかぼちゃの馬車を販売し続けて赤字を穴埋めする自転車操業だったという事実です。
最終的にかぼちゃの馬車への融資を止められたスマートデイズが倒産するのは自明の理でした。
スマートデイズ倒産に伴い賃料もストップ、ローン残高が物件時価を上回るため売るにも売れず、購入者には毎月の重いローン地獄が待っていたのです。
ただしスマートデイズ1社だけで、これほど大規模な展開になるはずがありません。
スルガ銀行との関係は?
かぼちゃの馬車に融資していたのがスルガ銀行。
スルガ銀行は一地方銀行ですが、かぼちゃの馬車事件以前から他行が取り扱わないような地方・築古物件にも積極的に融資し業績を拡大していました。
当時のスルガ銀行の売りはスピード審査と書類の原本確認が不要なこと。
これがスマートデイズと一部のスルガ行員にとって、実に好都合なのです。
- 顧客の源泉徴収票や銀行通帳は改ざん
- 売買契約書は複数作成して融資額を水増し
- 社内体制が審査部<営業部
売上げ第一でパワハラ気質のあったスルガ銀行ゆえに、スマートデイズとの相性もぴったりだったのでしょうか。
目先の数字を優先したのですね
かぼちゃの馬車事件の黒幕は?
かぼちゃの馬車事件はスマートデイズとスルガ銀行のタッグによって発生したことがわかりました。
しかし事件の黒幕を観察すると、まるでデジャヴのような光景が…。
黒幕の登場
かぼちゃの馬車事件の黒幕Sさんに登場していただきましょう。
Sさんはかつて「ライオンズ石油」や「ビデオ安売王」で一世を風靡したスゴ腕の事業家ですが、いっぽうで風営法違反や詐取容疑で逮捕される過去を持つなど、表舞台に出にくい一面も。
かぼちゃの馬車は実質的経営者Sさんが作り上げた、過去のビデオ安売王スキームと一緒なのです。
ウリふたつのビデオ安売王スキームとは
ビデオ安売王は1990年代に主に成人向けビデオを販売する店舗を、フランチャイズ(FC)で展開していました。
雑誌等で加盟料200万にてFCオーナーを募り、最盛時は1,000店を超えるまでに急拡大。
Sさんはセミナー受講者にとって有利な以下のシステムをアピールし、FCオーナーになるよう勧誘します。
システム | 内容 |
ロイヤリティ | なし(ピンハネなし) |
仕入れ | 本部が仕入れし、掛け率は50% |
経費保証システム | 売上げが経費を下回れば本部が差額を穴埋め |
赤字撤退の買戻し | 撤退時は在庫商品を仕入れ値で買い戻す |
在庫ローテーション | 他FC店との間で在庫商品を無料入れ替え |
バックオーダーシステム | 本部集計の売れ行き好調商品を毎週納品 |
実際これらはほとんどウソ(!)ですが、真に受けたセミナー受講者は加盟を決意し加盟料200万を支払おうとします。
しかし担当者から「加盟料のほかに開業資金として1,000万~1,500万が必要」と言われ、そこまで資金がなく困ったセミナー受講者に悪魔のささやきが。
担当者「私どもの事業をすごく評価して融資してくれる金融機関があるんですよ、それはスルガ銀行といって…」
Sさんにとってみればスルガ銀行から融資を引っ張れれば、FCオーナーはただのゴミ。
FCオーナーたちから多額のカネを巻き上げてほどなく倒産したビデオ安売王と、かぼちゃの馬車…歴史は繰り返されますね。
投資規模と運営の持続可能性を慎重に検討して決断を
本当に儲かるならスマートデイズも一般投資家に販売しないのでは、という視点も併せて持ちたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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