【●円の壁】中古マンションは1億円、ラーメンは1千円を超えると売りにくい?について考えた

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商品やサービスを売るにあたって、「●円の壁」があるとよく耳にします。

とある商品の相場観として昔から「だいたい●円くらい」というものがあり、特に根拠はなくとも慣習としてそれ縛られる消費活動は現に存在しています。
例えば昔はカローラが100万円で買えましたが、今は新車の軽自動車が200万円近くしており、その観点から「最近の自動車は高くなった」と感じるようなものですね。

今回は特定の商品にありがちの「これは●円くらい」「●円を超えると売れない」といった独特の相場観について考えたことをお話ししていきます。

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  • 不動産歴20年のフリーランス
  • 投資家(不動産14年、株式3年)
  • 運用投資総額は約3,500万円

この記事を読むと、以下のことがわかります。

  • 不動産における「●円の壁」について

ぜひ最後までご覧ください。




●円の壁について~ラーメン&中古マンションから~

それでは巷でささやかれるラーメン1千円の壁と、そこから関連して中古マンション価格に壁があるのかないのか、考えてみます。

ラーメン1千円の壁について

まずはラーメン1千円の壁について書かれたネット記事を紹介します。

◆キャッシュレス店だと1000円超えでも好評

 この「壁」はいつから言われ始めたのか。ラーメン専門誌などには、2010年ごろからたびたび登場するようになる。年間700杯を平らげ、開店・閉店情報を発信するラーメン評論家の山本剛志さんは「ブランド食材や無添加食品を用いる店が登場し、一部のトップランナーの店主たちが語り始めた」と話す。その後はトリュフやフカヒレなどを盛り込み、1杯数千円の高級ラーメンも少しずつ増えてきている。

 しかし、出店のハードルが比較的低く、競合が激しいラーメン業界では「依然として店主の壁への恐怖心は根強い」という。同じく大衆食と位置付けられる牛丼やカレーなどと比べて、「個人店が圧倒的に多く、他店に影響を与えるプライスリーダーが存在しない」ためだ。一方、主に都市部に点在しているキャッシュレス専門店では、1000円台の価格のラーメンも好評を博している。「庶民性のイメージは心理的に左右される面もある。『千円札の壁』とも言えるかもしれない」

 多くの個人店にとって、壁は今後もそびえ立ち続けるのか。山本さんは「値上げの告知文は謝罪文のような形になってしまっている。現状の経済政策では、消費マインドの喚起は望めず、客離れに恐怖心を抱くラーメン店主はやはり、値上げに二の足を踏むだろう」と見通し、こう続けた。

 「最終的には、経営者が壁を前向きに崩していくというより、諸経費の上昇に耐えられず、壁の内側に押し込まれるようになってしまうのではないか」

引用元:東京新聞 TOKYO Web

何が言いたいのかよくわかりませんが、1千円札以上出すことに抵抗がある人が一定数いるようですね。
でも若い世代にとってラーメン=国民食という固定概念は持たないでしょうし、人件費や物価が高騰するなかで頑なに1千円以下にこだわらない気もしますが、どうなんですかね。

個人的にラーメン1千円の壁はなくなりつつあるように感じます。

不動産価格に壁はあるか

ラーメンと同じように不動産価格に壁は存在するのでしょうか?

普段私たちがマイホームを検索するときに、価格帯を設定すると思います。
例えば価格5,000万円以下というように。

壁と言うより、検索上のハードルはある

ただし仮に5,000万円までの予算のお客さまでも、値下げを期待して価格が6,000万円までの物件を探す人は多いでしょうし、壁と言えるほどの心理的なハードルがあるようには思えません。

ちなみに私の住む東京世田谷の中古マンションに限って言えば、専有面積70㎡くらいの築20年以内で売り出されている物件価格は7,000万円から8,000万円あたりが多いように感じます。
たまにリノベーション工事済みで1億円を超えるものも散見されますが、これらはすぐに買い手がつかずダラダラ値下げしながら半年、1年かけてようやく売れていくような印象ですかね。

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中古マンション1億円の壁はあるのか

ぼんやりと中古マンション1億円の壁があるように感じますが、本当のところはいったいどうなんでしょうか。
一応不動産業歴20年超を誇る私が、データを基に簡単な検証をすることにしました。

データ検証と実際の壁の中身

ぼんやりと考えていても始まりません。
やはり客観的なデータを基に、中古マンション1億円の壁問題について検証することにします。

レインズデータから検証

こちらが2024年1月23日時点のレインズデータです。
東京世田谷における専有面積が60㎡以上で、売り出し中の物件数を数えてみました。

1億円未満:485件
1億円以上:148件

全体の76.6%を1億円未満の中古マンションが占めており、ざっくり4件中3件が1億円未満で売り出されています。

これに対して、過去6ヶ月以内の成約件数を調べてみましょう。

1億円未満:274件
1億円以上:56件

中古マンション全体の83%が1億円未満の成約価格となっており、売り出しの割合より若干高いとはいえ、それほど売りにくい数値とも言えなそうです。
しかし、一般にポピュラーとされる専有面積60~80㎡に限ってみると、少し景色が変わってきます。

1億円未満:199件
1億円以上:16件

専有面積が60~80㎡の中古マンションのうち、92.5%が1億円未満の成約価格となっています。
1億円以上で取引された16件のうち4件はタワマンですし、その他も成約価格帯が1億円~1億1,000万円がほとんどのため、やはり1億円を超える一般的な広さの中古マンションが売りにくいのは間違いないでしょうね。

実際に中古マンション1億円の壁はあるのか?

ラーメンに1千円の壁があるように、都心を除く23区における中古マンションにも1億円の心理的な壁はあるように思えます。
ただしそれは心理的な壁よりも、もっとわかりやすい目に見える壁がハッキリ存在しているように感じるのですが。

まとめ
  • 新築マンションとの兼ね合い
  • 住宅ローン返済のリアル

1億円出せば、世田谷界隈でも新築マンションが購入できます(立地による)。
さらに中古マンションは物件価格のほかに仲介手数料もかかり、小修繕や壁クロスを張り替えれば100万円ほどのリフォーム費用も必要になりますから、見かけの販売価格より支払いの負担感は大きいです。

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それなら新築のほうが良いとなる

さらに住宅ローンも1億円を超すと、返済額がヤバいことになってきます。
仮に1億円を変動金利0.4%、期間35年で借りると、返済額は以下のようになります。

毎月の返済額

255,190円

これに管理費やら駐車場やらを考慮すると毎月のランニングコストが30万円を超えることはほぼ確実です。
そうすると年間の住宅関連費用が400万円近くに膨れ上がることに…。

ここまで来ると、パワーカップルとされる世帯年収1,400万円の家庭でもさすがに躊躇う金額ですね。

中古マンションは1億円、ラーメンは1千円を超えると売りにくい?について考えた・おわり

結局、ラーメン1千円の壁は単なるイメージに過ぎず、中古マンション1億円の壁はその背景から存在する実際の壁、ということが私のなかで結論となりました。
で、中古マンションの場合は実際の壁に加え、「中古マンションに1億円出すのも何だかなぁ…」というモヤっとした感情が「壁感」をより強く印象付けているだけなのでは、と。

●円の壁を目にしたときに、単なるイメージなのかそうでないのかはしっかり考えたほうがいいですね。
その背景を理解したうえで、買うべきか買わないべきかを決めましょう。

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