「この物件、安いぞ…(ゴクリ)」
不動産を探していると、思わず「安い!」とつぶやいてしまうような瞬間があると思います。
ただしそれは一瞬のことで、数秒後には「な~んだ、再建築不可か」「お隣がゴミ屋敷なのね」とか、割安な物件にはそれなりの理由があることに納得してしまうものです。
インターネットで公開されている物件でもそんな感じなのに、良くて割安な未公開物件が向こうからホイホイ寄って来るのは完全にウラがあると思って間違いないでしょう。
今回は健美家さんのHPから、騙して再建築不可の土地を売りつけられそうになった投資家のレビュー記事を書いていきます。
- 不動産歴20年のフリーランス
- 投資家(不動産14年、株式3年)
- 運用投資総額は約3,000万円
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- 騙されずに不動産を買うには
ぜひ最後までご覧ください。
“建築できない土地”である事実を隠され、危うく購入しかけてしまった・本編と解説
まずは健美家さんの記事本編と、簡単な解説から始めます。
“建築できない土地”である事実を隠され、危うく購入しかけてしまった・本編
まずはこちらの健美家の記事をご覧ください。
簡単に言えば、接している道路に沿って1m弱の幅で分筆して未接道とした広大な残地を、投資家に売りつけようとした悪徳不動産会社の詐欺の手口を紹介したものです。
細かな経緯やシチュエーションはわかりませんが、この内容で騙せると思った悪徳不動産会社の頭の悪さが際立ちますね。
この騙されかけた杉田オーナーも、さすがにこのレベルの詐欺に引っ掛かる人だとしたら、もっと早く退場していたでしょうし。
詐欺を働くならもっと緻密に計画を立てて、ターゲットを選定して上手くタイミングを計らなければ引っ掛からないでしょう。
マトモに働こうよ
“建築できない土地”である事実を隠され、危うく購入しかけてしまった・解説
ご存じない方のために説明すると、建物を建築するにはその土地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。
したがって、接する道路が建築基準法上の道路でなかったり、接している長さが2m未満だと原則としてその土地に建築物を建築することができません。
一般に、土地は建築物が建築できてこそ価値があるので、建築ができない土地は価格が安く、融資も付きづらくなります。
今回の悪徳不動産会社はそんな接道面に着目し、以下の図のように接道部分を分筆したのですね(健美家の記事から引用)。
もしも首尾よく売れれば、あとは持久戦。
売った土地を安値で買い戻すか、分筆部分を高く売りつけるか
記事の感想と気を付けたいこと
ここからは私が記事を見て思ったこと、不動産投資をするうえで気を付けたいことについて。
所感
それにしても雑な詐欺師だな、という印象です。
あの『日本版オーシャンズ11』とも称される、カミンスカス操が中心となり五反田駅前の旧・海喜館を舞台に積水ハウスから大金を奪い取った地面師詐欺のほうがダイナミック&スリリングで、それと比べるとこの輩のショボさが際立ちます。
ま、ショボさは置いておいても、この手の詐欺事件は共通項がありますね。
ご丁寧に相場より安い値段で売ってくれる
まずは相場よりも安く売ってくれる理由を聞くか、こちらから推察しなければいけませんね。
その内容が納得できるものでなければ、詐欺だと思って間違いないと思います。
自分事として気を付けたいこと
私は零細投資家なので、向こうから案件が来ることはありません😅
ただ、不動産投資家の端くれとして物件購入をするにあたって気を付けていることがあります。
①近隣相場より安い理由を考える
前提として割安な物件は、情報が公開される前に不動産業者に買われるケースが多いです。
それにも係わらず、その物件が不動産業者に買われずに表に出てきた理由を考察しなければなりません。
私の経験上、近隣相場よりも安く売りに出ている物件は、以下の背景が一般的です。
- 売主さんが現金化を急いでいる
- 売主さんが遠方に住んでいて相場に疎い
- 仲介業者が遠方にあり相場に疎い
上の1.2.に関しては仲介業者が物件の近隣で営業していれば、水面下で不動産業者への買取り直行便となるはずです。
物件に大きな問題がない1.2.のケースで公に情報が回るとすれば、不動産業者の買取り目線に届かないギリギリのレベルか、詐欺のどちらかでしょう。
ただし、唯一3.に関して私は大チャンスと判断します。
仲介業者が遠方にある時点で売主さんも遠方に住んでいる可能性が高く、お互い相場に疎いうえ仲介業者も物件近隣を営業エリアに持つ不動産買取り業者を把握していないと思われるからです。
こうしてポロッと売りに出した割安物件に対し、不動産買取り業者ではなく私のような個人が申込むことで売主さんに「安かったかな…?」と思われにくく、仲介業者にとっても売主さんに話をしやすくなります。
②「何か変だな…」と思ったら、やめる
杉田オーナーが詐欺を見抜いたきっかけとして、公図の提示を求めたところ悪徳不動産会社から「公図はありませんが、測量図ならあります」と回答があった点について。
これを不審に思った杉田オーナーは法務局に出向いて公図を取り寄せたため、今回の企みが発覚したというものです。
過去に不動産会社の営業マンとして、また零細投資家として声を大にして言いたいことがあります。
営業マンの言う「大丈夫です」は「全然、大丈夫じゃない」、と。
そして以下のようなセリフや行動も十分注意したほうが良いです。
- 「売主さまは特に知らないと言っています」⇒現況のまま押し付ける
- 「一般的には~です。」⇒例外もあるから
- 書面など証拠を残したがらない⇒最後は逃げ切れる
要は「言った、言わない」に持ち込むか、断定はしていないと突っぱねられるような、キモとなる部分は微妙な言い回しであることが多いです。
何かを隠して売る場合、不動産業者と話していると相手の発言などに違和感を覚えることも多いです。
「おかしいな」と思ったら、手を引くのが吉ですね。
“建築できない土地”である事実を隠され、危うく購入しかけてしまった・おわり
不動産の詐欺って、すごく初歩的なところを大胆に突いてくるという点でコワいですね。
今回の記事では上手く騙せれば数千万円、もし地面師一味であれば一撃数億円を騙し取れるため、詐欺師界隈にとっては夢のある業界なのかもしれませんw
騙されないために必要なことは「良くて割安な物件が向こうから来ることは絶対にない」ということ。
日夜、不動産投資家が「ちょっと難があるけどそれなりに安い物件」を血眼になって探し、年にせいぜい数件ヒットするくらいの厳しい世界ですから。
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