【プロが解説】築古リノベーションマンションの注意点は?~仕入れ値と販売価格の差も公開~

不動産投資
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「このリノベーションマンション、ずいぶん値段が高いなぁ」
定期的に中古マンションの価格をチェックしている人にとっては、この10年ほどの中古リノベーションマンション価格の上昇は驚くべきものに感じるはずです。

都心では築40年とか50年が経過したリノベーションマンションが7,000万円やら1億円で売りに出されている現状は、私が業界に足を踏み入れた20年前とは隔世の感があります。
果たしてこれほどに高騰した築古リノベーションマンションを買っても心配はないのでしょうか。

今回はリノベーションマンション業界で10年のキャリアの私が、築古リノベーションマンションはどのように値付けされ、また購入にあたって注意したほうが良いことを解説していきます。

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  • 不動産歴20年のフリーランス
  • 投資家(不動産14年、株式3年)
  • 運用投資総額は約3,000万円

この記事を読むと、以下のことがわかります。

  • 築古リノベーションマンションで気を付けること

ぜひ最後までご覧ください。




築古リノベーションマンションと価格構成

まずは築古リノベーションマンションが世に出る背景と、販売価格の構成についてお話していきます。

築古リノベーションマンションとは

築古マンションは築何年以上、との明確な定義はありません。
区分マンションの買い取り業者間では、旧耐震と新耐震というマンションの耐震基準が強化された1981(昭和56)年を基準に、それよりも古いマンションを築古とイメージする傾向にあるようです。

築古マンションは室内もそれなりに使い古されており、そのままでは買主側がリフォームしなければならず、買主にとっては余計な手間と費用がかかります。
そのような背景から買主に敬遠されるため、売主にとって築古マンションを高値で売るのは難しく、自然とプロの買い取り業者が購入していくケースが多いんですね。

室内の状況によっては個人よりもプロのほうが高く買うケースもある

プロの買い取り業者によって購入された築古マンションはリノベーション工事を実施、設備一式を入れ替えて間取りも今風に一新されます。
販売価格はそれなりに高くなりますが、買主にとっては個別のリフォームローンに頼る必要もなく、家賃と住宅ローンの二重払いの期間も短縮できるため、多くのメリットがあります。

築古リノベーションマンションの値付け方法

具体的な事例を基に解説しましょう。
仕入れ価格5,000万円、70㎡の3LDKの築古マンションをスケルトン状態からリノベーション工事をした経費項目はざっくり以下の通りとなります(所有期間は150日と想定)。

仕入れ価格50,000,000円
仕入れ時仲介手数料1,716,000円
登記費用他税金関係750,000円
リノベーション費用7,000,000円
管理費・積立金150,000円
金利・事務手数料1,200,000円
合計60,816,000円

リノベーション工事の内容や金融機関の手数料等はケースバイケースですが、購入経費の総額は概ね6,000万円ほどに収まるはずです。
ここから利益で売値の10%を確保したいなら、売却時の仲介手数料を考慮すると7,000万円近くで成約させなければなりません。
そして逆に6,300万円を下回ると赤字になります。

5,000万円で仕入れた物件の損益分岐は6,300万円とややハードル高め

5,000万円で仕入れたマンションがすぐ7,000万円近くになってしまうのもいささか驚きですが、それでも言うほど利益がたっぷり乗っているわけでもないんですね。
これでもアベノミクス相場と言われたこの10年超はなんとか右肩上がりの相場に助けられ、築古リノベーションマンションもずいぶん値上がりしました。

奇しくも新型感染症の流行で相場のギアが一段上がりすぎた反動か、現在は調整局面に入った感もあり、築古リノベーションマンションは試練のときを迎えるかもしれませんね。

築古リノベーションマンションの購入是非と注意すべき点は

築古マンションを買うとき、「こんなに古いものを買っても大丈夫だろうか?」と不安に思うのも当然です。
リノベーションマンションの買取り再販の現場に10年以上携わった経験から、この問題にひとことお話しします。

築古リノベーションマンションって買っても大丈夫?

「築古リノベーションマンションはハリボテだから買っちゃダメ」との意見を耳にします。

これは一方で正解ですが、必ずしもそうと言い切れない部分もあります。
室内のリノベーション工事がしっかり行われていることが前提ですが、共用部分の管理や修繕がしっかりと行われ、管理組合の財務面が強固であれば、私は全く問題ないと考えます。

いまは健康な若者(築浅)も、50年後(築古)はわからないのと同じ

確かに築年数の浅いマンションであればパッと見はどれも良さげで、管理の良し悪しの区別はつきにくいもの。
しかし築50年も経過していれば、玄関扉やサッシの交換、給水管の取り替え、外壁塗装、防水工事など共用部分の大きな修繕工事が定期的に行われているか、また修繕計画に則り修繕積立金をしっかりプールできているかが可視化されます。

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管理会社からマンションの重要事項調査書を取り寄せよう

長年にわたって適切に運営されてきた築古マンションであれば、この先の建て替えも含めた諸問題の解決について一定の安心感を持てることでしょう。

まとめ

築古だからこそ、管理の歴史がわかる

築古リノベーションマンションの注意点

見た目は新築マンションさながらの築古リノベーションマンション。
気を付けたいのが、目に見えない部分です。

最近は一般のお客さまでも質問されるようになったのが、専有部分の水道管の交換工事の実施の有無です。
キッチンやお風呂の水道管は蛇口から先が壁に隠れて見えないため、古い水道管を既存利用していても見た目ではわかりません。

水道管が老朽化すると水質の悪化や、あるいは漏水事故を引き起こしたあげく、下階住人に対して損害賠償金を払う必要が出てくる可能性もあります。
不動産会社に「水道管を交換したかどうか」聞いて、交換したと言うなら証拠画像などを要求し、確認するのが安心です。

次に床下の部分です。
床下は直接コンクリート床となっている直床(じかゆか)と、木材で骨組みをした二重床の2タイプがあります。

直床の場合と、二重床で既存の骨組みをそのまま利用している場合は、床の傾きや床鳴りがする場合があります。
全室の床をすべて踏んで音が鳴らないか、また水平器などで床の傾きがないかを現地で確認するようにしましょう。

不動産会社にとってはイヤな客になろう

築古リノベーションマンションの注意点・おわり

いかがでしょうか。
いつの時代も「買い時」の判別は難しいですが、やや下落傾向の見られる地域の築古リノベーションマンションはもう少し待ってもいいような気はします。

10年以上前と比べるとリノベーションマンションを手掛ける事業者も増え、その結果として販売価格の上昇を支えてきましたが、相場環境がガラッと変わると一気に損切り撤退する事業者も出てくるからです。
金融機関の融資引き締めも一律に行うのではなく、「まずは築古から…」と言うようにターゲットにされがちなのも不安なところ。
最近は地震も頻発してますし…、いや、何だかネガティブキャンペーンになってしまいましたね。

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