「マンションと戸建、どっちがいいの?」
昭和時代は戸建の圧倒的優勢だったこの問題も、令和の現代は甲乙つけ難い五分五分の難問と化しています。
昭和のようなみんなが「右向け右の時代」ならいざ知らず、多様性の尊重される現代であれば結論が出にくいこのテーマについて、改めて考えることにしました。
今回は不動産業界に20年以上身を置いた立場から、マイホームを買うなら戸建かマンションか、そのメリット・デメリットについて考えてみます。
- 不動産歴20年のフリーランス
- 投資家(不動産14年、株式3年)
- 運用投資総額は約3,000万円
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- マイホームを買うなら戸建?マンション?
ぜひ最後までご覧ください。
東京のマンションがひとり勝ちと言えるワケ
この10年ほどは誰が何と言おうと、数字上においては東京のマンションの価格上昇が際立ちました。
まずはその理由から考えていきます。
国内外の投資マネーが東京のマンションに向かった
異次元の金融緩和や昨今の円安により、国内外の投資マネーが日本の不動産に向かいました。
日本の不動産と言っても、物件種別に関係なく買われたわけではなく、東京のマンションに集中した感があります。
こちらは国交省が公開している不動産価格指数の推移です。
この13年ほどでマンションは90%以上指数が上昇していますが、戸建住宅は20%弱の上昇にとどまっています。
国内外の投資家が不動産投資や節税対策として不動産を購入するとなると、賃貸管理に手間もかからず課税評価の低い、都心のタワーマンションに集中的にマネーが流れたことが容易に想像できますね。
サラリーマン時代に私が販売担当していたタワマンも、資産家が現金でガンガン買っていきました
価格指数が90%上昇したのもマンション全てが上がったというより、都心の高価格帯のマンションが伸びをけん引し、横ばいもしくは下落している郊外マンションが多数あることは忘れてはいけません。
すべてにおいて二極化が進行中
共働き世帯のライフスタイルにマッチ
昭和の伝統的家族観は夫が働き、家事全般は奥さんが担うものでした。
そしてマイホームに関しては最初は都内の団地を買い、子どもの成長に伴い郊外の戸建へと買い替えるという流れが大衆の考えでした。
夫婦共働きになり、マイホームに求める性質が変わってきた
夫婦共働きになると、お互いに通勤を必要とします。
さらに終身雇用は崩壊して転職が一般的になったため、郊外に家を構えてしまったら職業の選択肢を狭めることにもなりかねません。
自然と都心のマンションに向かう
共働き生活では家事にかける時間も限られます。
マンションであれば共用部分の維持管理はほぼ丸投げ、ゴミ出しも24時間できるため、家事の効率化も(一般的に家事の多くを担う奥さまにとって)人気の理由と言えそうです。
また、高所得世帯は子どもの教育にも熱心な傾向があります。
子どもの受験年齢が下がっていることもあり、通学や通塾の関係で東京都心に住居を構えたい層が増えているんでしょうね。
マンションと戸建、結局どっちが買いなの?
東京のマンション価格が高いことはわかりました。
では、これからマイホームを買う人はマンション一択なのでしょうか、それとも戸建を買うのもありなのでしょうか。
マンションを買うとき気を付けたいこと
マンションは一般に立地が良く、陽当りや眺望が優れています。
また、共用部の維持管理に手を煩わされることもないため、都心で日常生活を送るうえでは大変便利な生活の場です。
しかし気を付けなければいけないのは『住人と建物のダブルの老い』と言えましょう。
日本でマンションが建てられ始めて、まだ60年ほどの歴史しかありません。
建替えされた事例もごくわずかで、これから本格的なマンションの建替え問題が起こることが予測されています。
しかも老朽化したマンションの住人は高齢者が多くを占めており、認知能力や資金面で多くのハードルを抱えそうです。
管理不全マンションが続出する可能性も
マンションはひとりの意思で決定することができないため、建替え等の大きな課題に向けて合意形成を図るのが困難であり、またその状態では買い手も付きづらくなります。
ダブルで老朽化する前に買い替えるべし
私の自宅マンションが築60年を迎える頃には、生きていれば私の年齢は93歳。
まぁ、管理組合の活動にマトモに参加できる歳ではないですね。
戸建は今後も厳しいのか
ずっとマンションを礼賛するかのような論調でしたが、私は決して戸建がマンションに劣るとは考えません。
確かに家の管理や維持修繕は全部自力でやるのは、現代のライフスタイル上はネックですが、裏を返せば最大のメリットでもあります。
すべて自分の意志で決定できる(大変だけど)
先に述べた管理不全マンションが続出し、建替えが進まないことが社会問題化したときに、改めて戸建の良さが見直されるはずです。
仮に家が老朽化してボロボロになっても土地の値段は評価されるため、マンションのように一気に売りにくくなるような状態は避けられるでしょう。
ただし戸建も注意しなければいけない点はあります。
それは木造の戸建は鉄筋コンクリート造のマンションに比べ、建物の耐用年数が短い点です。
仮に30代や40代で新築戸建を購入したとすると、築後40年ほど経過した70代から80代にかけて建替え問題が発生します。
じゅうぶんな資金が必要
建替えるにしても、買い替えるにしてもそれなりの資金を要します。
その年齢だと階段の上り下りがしんどい可能性もありますし、マンションに買い替えると言っても長年親しんだ地域を離れたところには行きにくいでしょう。
マイホームは戸建がいい?マンションがいい?・おわり
「戸建がいいかマンションがいいか論争」は、もはやジャニーズやAKBグループの誰推しかぐらい他愛もない、よもやま話になり下がった感があるほどです。
その人の好きにすればいいし、どっちが優れた判断かを決めるには現代の生き方は多様すぎて、決められるものではありません。
ただしマンションと戸建の究極の違いは、自分ひとりの意思決定でできる範囲の違いです。
マトモなマンション管理組合であれば放っておいても大丈夫なのですが、そうでない場合が大変。
そこだけは、本当に悩ましい問題ですね。
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